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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1251号 判決

控訴人(原告) 貝瀬彦行 外一名

被控訴人(被告) 新潟県知事

主文

原判決中、控訴人等敗訴の部分を取り消す。

新潟県農地委員会が昭和二十四年十一月八日計画公示した別紙土地目録記載の土地に対する未墾地買収計画はこれを取り消す。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実

控訴人等代理人は主文同旨の判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は、控訴人等代理人において、「一、原判決事実摘示のうち、控訴人貝瀬彦行所有の土地の地番に関し(イ)大字滝谷字原地千八百十六番山林一反四畝三歩とあるを大字滝谷字原地千八百十六番子山林一反四畝三歩と、(ロ)大字滝谷字宇登婦沢四百四十七番の二山林一反三畝二十七歩とあるを大字滝谷字宇登婦沢四百四十七番の一山林一反三畝二十七歩と夫々訂正する。二、控訴人等は左記の土地は係争買収計画が樹立された当時(昭和二十四年十一月八日)においてすでに開墾されていたと主張するものである。(イ)大字滝谷字宇登婦沢四百四十七番の一山林一反三畝二十七歩(控訴人貝瀬彦行所有)(ロ)大字早川字原二百十八番の二山林四畝五歩同所二百十八番の三の内山林四反七畝歩のうち中央を流れる小川の下流に向つて右側の部分約一反九畝歩(関清所有)三、係争未墾地が開拓不適地であることについて次のように主張する。(一)前述の既墾地の部分を除いた他の係争未墾地の性質は農林省制定の『開拓適地選定の基準』第八の(二)及び(三)にいう農耕地に適しない第四級地である。(二)第四級地に該当する未墾地について気候、経済環境、農耕地面積などの事情を考慮してこれを増反用地として利用するためには都道府県開拓委員会又は未墾地買収予定地審査会が充分に審議したものにつき都道府県知事は慎重に検討した上具体的理由を附し、農地事務局長を経て開拓局長にその認可を申請しなければならない。そして、この認可は買収計画議決以前に存在しなければならないのである。(三)仮に、被控訴人が第四級に該当する係争地を増反用地として利用する目的で買収計画を樹立したとするならば、被控訴人は右の例外容認に関する委員会の審議と被控訴人の申請、これに対する開拓局長の認可について主張と立証をしなければならない。(四)然るに、被控訴人は係争地について当局の指示に適える正確な調査をなさず、漫然と開拓適地として買収計画を樹立したものであり委員会の審議、例外容認の申請、開拓局長の認可はないのである。四、被控訴人の本件係争地が開拓適地である旨の新な被控訴人の主張は争う。昭和二十四年一月の開拓適地選定の基準は適地の選定について更に一層科学的かつ、円滑に推進するために定められたものである。しかも、右基準は、その土地を開拓することが技術的に適当であるかどうかを審議する際の主要な基本となるものであるから、今後都道府県知事、都道府県開拓委員会、同適地調査部及び未墾地買収予定地審査会が開拓適否に関し、調査、審議、決定を行う場合及び関係技術員が適地調査を行う場合にはすべて右基準によらなければならないとされている。そして、本件係争地に対する開拓適地についての第一回調査は昭和二十四年五月九日ないし五月十四日に行われたのであるから、その調査にあたり、前示基準によらなければならない。そして、前示基準が土地の性質に関する調査方法として採用したものが検土杖であつて、これによる調査によれば本件係争地はいずれも前示基準において開拓不適地とした四級地なのである。被控訴人は、礫の多いところでは試抗を行い検土杖は補助的に使用しなければならないと主張するけれども、前示基準はこのような方法は指示しておらず、前示基準を無視するものである。しかも、開拓に適するかどうかは、人為が加わらない土地の自然のままの状態で決定さるべきであつて、被控訴人のいうように試抗するならば土地の自然の状態は失われることになるので土地の性質を適正に決定することはできない。被控訴人のいうように試抗によつて石礫を除去するならば、石礫を含む土地はすべて開拓適地となり、前記基準が土層の厚さについて四つの階級を設けたことと全く矛盾する。五、石礫及び樹根を除去するに要する労力については別紙第一表のとおりであつて、いずれも開拓不適地である。六、被控訴人の本件係争地が開拓適地であるとのその他の主張は争う。」と述べ、

被控訴代理人において、「本件係争地はいずれも開拓適地である。開拓適地選定基準には検土杖を用いて調査するよう書かれているが、特に本件係争土地のように礫の多いところでは検土杖に頼りすぎるのは真の土層の厚さを把握できない危険性が多いので、代表的な地点で試抗を行い検土杖は補助的に使用すべきである。よつて、被控訴人は実際に本件係争土地について試抗を行つて調査をした結果は土層の厚さはすべて百糎以上あつていずれも一級地である。また、石礫及び樹根を除去するに要する労力についていうと、礫の含有度からいうと別紙第二表記載のように三級地は一筆他はいずれも一級または二級地であり、樹根除去に要する反当りの労力については、開墾労力節減と耕作の迅速を期するため樹根の除去は立木伐採後数年を経て腐朽するのを待つて行うことが通例である。従つて、基準にも樹根除去のための労力は土地の級位決定の因子にしていない。要するに開墾のための労力の算定は礫の含有度のみによることは基準に定める通りである。以上調査の結果からして土層の厚さ及び礫の含有度においても三級以内であるから、その他の傾斜及び土性の因子をも含めて四級地は全くない開墾の適地である。控訴人等の主張は争う。」と述べた外、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

(証拠省略)

理由

一、新潟県農地委員会が昭和二十四年十一月八日控訴人等所有に係る別紙土地目録記載の土地(控訴人貝瀬彦行は(1)ないし(11)を所有、控訴人関清は(12)(13)を所有する)について未墾地買収計画を樹立してこれを公示し、同月九日から同月二十八日まで縦覧に供したこと、控訴人等が同月二十八日同委員会に異議の申立をなしたが、昭和二十五年九月四日異議が却下されたので同月十四日訴願を提起したが、同年十一月三十日訴願棄却の裁決があり、該裁決は同年十二月二日控訴人等に送達されたことは当事者間に争いがない。

二、控訴人等は本件土地のうち控訴人貝瀬彦行所有の別紙目録(8)の土地及び控訴人関清所有の同(12)、(13)記載の土地のうち中央を流れる小川の下流に向つて右側の部分約一反九畝の土地は本件の未墾地買収計画が樹立された昭和二十四年十一月八日当時はいずれも既に開墾されていたものである。また。その余の本件土地はいずれも開墾不適地であると主張する。

三、よつて、まず、控訴人等が開墾地と主張する右土地について本件買収計画が樹立されたときには既に開墾されていたかどうかを考える。

(一)  別紙目録(8)の土地について。

原審並びに当審証人貝瀬勝五郎、当審証人貝瀬隆治の各証言、原審並びに当審における控訴人貝瀬彦行本人尋問の結果によると、右土地は昭和二十一年四月同控訴人が立木を伐採して焼畑とした上、訴外貝瀬勝五郎がこれを借り受けて大根や豆等を植え付け爾来引き続いて同人が耕作をしていること、が認められる。

(二)  (12)(13)の土地のうち控訴人関清が開墾したと主張する土地について。

当審証人曳田三郎、長尾謙八郎、関光義、吉沢保、高橋平蔵、関忠雄の各証言並びに原審並びに当審における控訴人関清本人尋問の結果、及び当審における検証の結果を綜合すると、右土地は控訴人関清の二男忠雄が経営する製材工場の北側に接する土地で、同控訴人が昭和二十年に訴外上村ヤスから一部を農耕地に一部を水防林にする目的で買い受け、翌二十一年には水防林の所を除いて立木を伐採し焼畑となし、同控訴人及び右製材会社の工員等が食糧補給のために同年春から秋にかけ馬鈴薯、豆、大根等を約二反歩程植えつけてこれを耕作し昭和二十二年頃からは開墾に手伝つた者等に夫々区劃を分けて耕作させ現在に至つていることが認められる。

(三)  従つて、右三筆の各土地は本件買収計画が樹立された当時は既に農地として開発し耕作されていたものであるから、開発して農地とすることが適当な土地として買収することはできないものといわなければならない。

右認定に反する証拠はすべて採用しない。

四、本件土地のうち(8)の土地及び(12)(13)のうち中央の小川の下流に向つて右側の約一反九畝の部分を除いたその余の別紙目録記載の各土地(以下本件土地と称する)はいずれも開拓不適地であるとの主張について。

(A)  本件未墾地買収計画の樹立された当時施行されていた旧自作農創設特別措置法第三十条には具体的に開発の適否を判定すべき基準を定めていない。しかしその後施行された農地法第四十四条には、未墾地の買収は、自作農の創設又は自作農の経営を安定させるために必要であるときは開発して農地とすることが適当な土地を国が買収することができる旨及び、右によつて買収する土地は傾斜、土性その他の条件が政令(農地法施行令)で定める基準に適合し、かつ、これを農業のために利用することが国土資源の利用に関する総合的な見地から適当であると認められるものでなければならないことを規定している。そしてこの農地法及びその附属法令の趣旨は、本件未墾地買収計画の樹立当時施行されていた旧自作農創設特別措置法の下においても、開発適否を判断するに当つての一つの基準たる資料に供し得るものと考えられる。そこで本件においても当該土地が叙上の趣旨において前記基準で定める条件に適合し、且つ、農業のために使用することが国土資源の利用に関する総合的見地から適当であるかどうかを考える。

(B)  成立に争いのない乙第一号証によると、農林省は農地法施行(昭和二十七年十月二十一日)に先だち昭和二十四年十一月十八日付農林次官通達二四開第六三号「開拓適地選定の基準に関する件」(以下第一基準と称する)において、開拓適地の選定に関してこれを一層科学的かつ、円滑に推進するため「開拓適地選定の基準」を定めた。そしてそれには、「この基準はその土地を開拓することが技術的に適当であるかどうかを審議する際の主要な基本となるものであるから、今後、都道府県知事、同開拓委員会、同適地調査部及び未墾地買収予定地審査会が開拓適否に関し調査、審議、決定を行う場合及び関係技術員が適地調査を行う場合には、すべてこの基準によらなければならない。この基準は現に買収計画につき異議申立中或は訴願中のものでその内容が開拓不適地であるとするものについても、また、その開拓が技術的に適当であるかどうかを審議する際の主要な基本となる。」ことを定めている。

(C)  そこで、右基準において開拓適否を判定するについての基準を調べてみると該基準は第八土地の性質として、次のように定めている。

(一)  土地の性質が農耕に適するか否かは、次の四つの要素によつて定められる。この四つの要素を夫々四つの階級に分類し利用上の限界を示している。

(イ) 傾斜

(1) 一級傾斜〇― 三度┐

(2) 二級傾斜三― 八度│………傾斜の点では開墾に適する。

(3) 三級傾斜八―一五度┘

(4) 四級傾斜一五度を超えるもの………開拓に適しない。

(ロ) 土層の厚さ(底岩又は磐層までの深さ)

(1) 一級土層一〇〇糎 以上┐

(2) 二級土層一〇〇―七〇糎│………土層の点では開墾に適する。

(3) 三級土層 七〇―四〇糎┘

(4) 四級土層 四〇糎未満…………開墾に適しない。

(ハ) 土性

(1) 一級土性。壤土、植壤土、砂壤土                ┐

(2) 二級土性。火山灰性壤土、火山灰性埴壤土            │…土性の点では開墾に適する。

(3) 三級土性。砂土、火山灰性砂壤土、重粘土、泥炭土、(中位、低位)┘

(4) 四級土性。粗い砂土、火山砂、火山礫、泥炭土(高位)不安定な砂丘地……開墾に適しない。

(ニ) 礫(礫を除去するに要する反当歩掛り)

(1) 一級礫度 礫を含まない┐

(2) 二級礫度 一〇人以下 │………礫の点では開墾に適する。

(3) 三級礫度 一〇―三〇人┘

(4) 四級礫度 三〇人を超えるもの………開墾に適しない。

(二)  土地の級の決定

土地の級を定めるに当つては、第八の(一)の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の表により土地の性質に関する四つの要素の一番劣つた級にある要素の級を以つてその土地の一般的な級とする。例えば、ある土地が二級傾斜四級土層、二級土性、三級礫度である場合にはこの四つの要素のうち、最も劣つた級にある土層の級により第四級地とする。

(三)  各級の土地の概要は次の通り定めている。

(イ) 第一級地……生産力が普通以上で農作業も容易であり最も農耕に適する土地

(ロ) 第二級地……土地の性質が第一級地より劣るが、生産力が普通で農耕地とすることが適当な土地。

(ハ) 第三級地……生産力が普通以下であるか、傾斜のため侵蝕を受けやすいか或は礫のために農作業に不便である。

(ニ) 第四級地……農耕には適しないので当然入植者の農耕地に充てるべきではない。

なお、気候又は経済環境が非常によく地元農家の農耕地が甚しく不足している場合は増反用地として利用してもよいが、この場合第十七の二の手続(特定の地区における例外の容認、第六以下の一般的基準に適合しない個々の地区については例外が認められるがこの場合には都道府県開拓委員会又は未墾地買収予定審査会が充分に審議したものにつき、都道府県知事は慎重に検討した上具体的理由を附し、農地事務局長を経て開拓局長にその認可を申請しなければならない)をとらなければならない。

そして、右基準は土地の性質の調査の実施に際しては技術員は検土杖と傾斜測定器を用いる外、調査測定地点を充分多くして判断の正確を期さなければならないと定めている。然るに、農地法が昭和二十七年十月二十一日施行せらるるや同法施行令第四条において「開拓の基準」が定められたが、農林省はこれに基く選定の実施に関する細目について昭和二十八年二月二十八日二八農地第九五一号農林次官通達により「開拓適地選定基準に関する件」(以下第二基準と称する)を定め爾後開拓適地の選定はこの通達によつて行う。但し、本通達施行前第一基準により開拓適地調査を行つた地区については第二基準による調査を要しないことを定めたことが当裁判所に顕著である。そして右基準は第一に「この基準はその土地を開拓の要に供することが技術的に適当であるかどうかを審理する際の主要な基本となるものであつて、都道府県知事及び都道府県開拓審議会が開拓適地の選定に関して調査、審議及び決定を行う場合及び関係技術員が開拓適地調査を行う場合には、すべてこの基準によらなければならない」と定め、また、第四において開拓適地選定の一般的方針として「この基準の運用に当つては国土資源の利用に関する総合的見地から直接に産業のために利用することが適当な土地であつて、国民経済的見地から農業の用に供することが適当な土地はこれを既存農家又は入植者に利用させて農業生産物の増産を図りこれらの農家の経営を安定させもつて日本経済の安定に資することを念願に置かなければならない」と規定している。また第七土地の性質の項において「開発して農地とすべき土地の選定」について、また、第二開拓適地選定の手続の項において調査の実施方法についていずれも第一基準と同一の実施方法を定め、開拓適地の選定の方法は第一基準と何等相違するところはないのである。これらの基準は農地法施行令の基準を補足する趣旨で、農地法第四十四条にいうところの国土資源の利用に関する総合的な見地を定めるについて専門的知識に基いて一定の基準を定めたものであるから、それが農林次官から関係行政機関に対する権限行使の指針を示したものに過ぎないとしても、裁判所は開拓適否の判断をするについて一の資料とすることができる。

(D)  そこで、本件土地は右基準に照して開拓適地かどうかを考えてみる。当審における鑑定人和田保鑑定の結果によると、本件土地の性質は次の如きものであることが認められる。

所在地

地番

地目

土層の厚さ

附記

等級

大字滝谷

関下

一、七八七の子

原野

三五糎

地区内約三分の一は六五糎

一、七八七の丑

山林

三〇〃

一、八一一

二〇〃

地区内にわずかに五五糎あり

神字

一、八六二の一

三〇〃

この四筆は係争地に隣接する土地で参考のために鑑定したものである。

一、八五三の丑

二五〃

一、八五三

原野

二五〃

一、八五三の子

山林

三〇〃

一、八五二

三七〃

原地

一、八二七

山林

三〇〃

一、八一四

一五〃

一、八一六の子

二五〃

地区内五分の一は六五糎

大字長崎

道端

三、三一七

二〇〃

三、三一七の子

二〇〃

三、三五四の二

原野

一二、五〃

大字早川

二一八の三

山林

二〇〃

なお、同鑑定人の鑑定書によると、同鑑定人は前記の基準に指定するように検土杖を用いて調査をなし、調査地点は各筆について別紙第三表記載のとおりであることが認められる。従つて、同鑑定人の鑑定は前記基準において要請する調査方法に合致したものと認める。

(E)  これに関して、被控訴人は、本件土地のように礫の多いところでは検土杖に頼りすぎるのは真の土層の厚さを把握できない危険性が多いので代表的な地点で試抗を行い検土杖は補助的に使用すべきである。そして、被控訴人が試抗を行つて調査したところによると土層の厚さはすべて百糎以上であつていずれも一級地であると主張するので、この点について考えてみる。

純理論的に考えると、検土杖をさし込んだ個所に偶々検土杖の進入を妨げるような礫があつたためにその個所は基準による四級地となつたが、その他の個所にはそのような礫がなく、その土地は一級地または二級地、三級地に該当するものと認められる場合のあることも考えられる。

然しながら前掲の基準による土地の性質に関する調査に際しては技術員は検土杖と傾斜測定器とを用いる外、調査測定地点を充分に多くしてその判断の正確を期さなければならないと規定している。

従つて、開拓適地の調査については土地の性質に関しては検土杖で調査地点を充分に多くして判断の正確を期すれば、その調査の結果によつて開拓適否を決定して然るべきであつて、さらにこの上試抗をしてまで土地の性質を調査することを要請しているものではない。そして後に(F)において説明するように本件土地は大体一様の地質、土壤構造を有するところからみても開拓適否の判定は検土杖による調査の程度によつて判定するのは適当であつて、更に試抗までして土地の性質を調査して開拓の適否を決定するのは妥当でないと考える。

被控訴人は、本件各土地について試抗を行つた結果によると本件各土地の土層の厚さはいずれも一級地であると主張するけれども、これを明認すべき資料はない。

(F)  そして、前記鑑定の結果によつて考えると、「本件土地はいずれも登川の旧川敷又は氾濫原であつて、表土以下は礫又は砂の互層よりなることは本件地内に存する堀さく跡地等からみて明であり、検土杖によつて測定した地点は別表三に示すように限られた地点ではあるが、本件土地の地質構造(砂質を帯びた壤土)と本件土地が登川の氾濫原であつて大体一様の地質及土壤構造を有するところからみると、これらの数値は大体において礫層までの深さを示すものと認めて誤りない。なお、下層が礫層である場合礫の間隙に土砂が存在するから、その表面までを土層の深さとすることは疑問であるという問題については、火山礫又は崖錐等による礫層と異なり本地帯の礫層は旧河原に存在するもので礫の含有度が高く、かつ、その間隙を満すものは砂であるという事実から見ても礫層の上表までの深さを以つて土層の深さと考えるのが相当である。」ことが認められる。

また同鑑定人が行つた調査地点の数は前記のような本件土地の性質構造からみて充分と認める。

(G)  そして、前記の第一、第二基準によると、土地の級を決めるに当つては、土地の性質に関する四つの要素が一番劣つた級にある要素の級を以つてその土地の一般的な級とすると定めているのであつて、本件土地は前記のように土層の厚さにおいてはいずれも四級地であるから、結局本件土地は斜傾、土性、礫についての調査をまたなくても四級地となるのであつて、右基準に定める開拓不適地に該当することになる。

(H)  尤も、前記鑑定によると、本件土地のうち(1)の土地では、約三分の一は土層の厚さは六十五糎、(3)の土地はわずかに五十五糎、(7)の土地には五分の一は土層の厚さ六十五糎の個所があることが認められ、前記の基準によるとこの厚さは三級土層であるからこの部分だけは土層の点では開拓に適するわけである。然しながら、(1)の土地は四畝五歩、(3)の土地は三反七畝二三歩、(7)の土地は一反四畝三歩の土地であるから、これらの土地に夫々一部分開拓適地としては最下級の三級土地が一部存在したとしても、その余の大部分は四級地であるかぎり、その土地全部を四級地と認めるのが相当である。のみならず右鑑定の結果によると(3)及び(7)の土地は樹根除去に要する労力と石礫除去に要する労力を含めたときの等級はいずれも四級地であることが認められるから、(3)及び(7)の土地はこの点からみても開拓不適地となるわけである。

また、前記の鑑定の結果によると、(1)(2)の土地に隣接する神字一八六の一の土地は土層の厚さ三〇糎(七〇糎の処も少しある)で四級地(1)に隣接する同一八五の丑は同じく二十五糎、(3)の土地に隣接する同一八五三の丑はいずれも二十五糎で各土地とも四級地であることが認められるから、この点も右各土地を四級地と認めるについての一つの根拠とすることができる。

(I)  また、既に三の(二)において認定したように、(12)(13)の土地のうち中央を流れる小川の下流に向つて右側の一反九畝の部分は控訴人関清が開墾して耕作しているのではあるが、当審における検証の結果(第一号、第二号写真参照)及び当審における控訴人関清本人尋問の結果によると、右土地の耕作物は通常の耕地の耕作物より成育状態の悪いことが認められるから、この事実と本件土地の地質、構造とを合せ考えれば右土地が耕作されていることは本件土地が四級地であることを認めるについて支障を来すものではない。

(J)  また、本件土地を開拓して農地とするについての費用及び農地としての経済的利用価値を考えてみると前記の鑑定の結果によると、開墾に要する労力は次の如きものであることが認められる。

所在地

地番

地目

石礫除去反当り労力

樹根除去の反当り労力

刈取り荒起砕土に要する反当り労力

合計労力

1

大字滝谷

関下

一七八七の子

原野

二五人

〇人

二〇人

四五人

2

一七八七の丑

〇人

〇人

二〇人

二〇人

3

一八一一

五〇人

四〇人

二〇人

一一〇人

4

神字

一八五二

〇人

四〇人

二〇人

六〇人

5

原地

一八二七

〇人

四〇人

二〇人

六〇人

6

一八一四

六五人

三〇人

二〇人

一一五人

7

一八一六の子

二五人

三〇人

二〇人

七五人

9

大字長崎

道端

三三一七

五〇人

四〇人

二〇人

一一〇人

10

三三一七の子

五〇人

四〇人

二〇人

一一〇人

11

三三五四の三

原野

八六人

四〇人

二〇人

一二六人

12

大字早川

二一八の三

山林

五〇人

四〇人

二〇人

一一〇人

以上のとおりであつて、前記基準によると、礫を除去するに要する反当歩掛りが三〇人を超えるものは四級礫度として開拓不適地としている。

(K)  また、経済的利用価値を調べてみると、前記鑑定の結果によると、(1)(3)(4)(7)の土地は耕地として利用するには排水の施設を必要とし、全国的水準からみて相当高価な開墾費を要すること、本件土地の生産力は土地が強酸性であり地下水位が高く而もこの地下水は登川の潜流に原因するものでその温度も低く生産力は一般の土地に比して極めて低いこと、従つて、前記のような開墾に要する労力を投じても蔬菜又は桑の栽培による収益を以つて労力に要する経費を償還するという計算をたてると到底採算は不可能であること、また、自作農が増反の目的で採算を無視して自力で開墾することも考えられるのではあるが、それを考えても、自家労力の余りに多いこと、生産力が低いことを合せて考えれば、決して好ましい開墾土地ではないことが認められる。

ところで農地法施行令第四条によると農地法第四十四条第二項に定めた基準を次のように定めている。

一気温(この点は省略する)

二傾斜 十五度

三土性 壤土、埴壤土、砂壤土、埴土、八%以上の粘土を含む砂土、中位泥炭土、又は低位泥炭土であること、

四土層 底岸又は磐層までの厚さが四十糎以上であること、

五礫の含有度 耕作の業務に支障を与えるおそれがある礫を一日で取り去るのに必要な労力が反当り三十人以下で足りること、

(但し農林大臣が自作農を創設し又は自作農の経営を安定させる為特に必要があると認め地区を指定して第二号から第五号までに掲げる事項につき別段の定めを公示したときはその事項についてその定めによる)

これを農林次官通達による各基準として比較してみると、土層の厚さが四十糎未満のもの、礫の含有度が耕作の業務に支障を与えるおそれがある礫を一日で取り去るのに必要な労力が反当り三十人以上であるものを開拓不適地としていることは同一である。ところで、和田鑑定人の鑑定の結果によると、(2)(4)(5)(7)の土地の石礫除去に要する反当り労力はいずれも基準に定められた反当り三十人以下より少いのであるが、樹根除去、刈取、荒起、砕土に要する労力を含めると(2)以外の土地はいずれも四十人以上であり、土層の厚さにおいてはいずれも第一、第二基準に定められた四十糎未満であるから、これらの土地は農地法施行令の基準の趣旨からみても開拓不適地と認める。

(L)  また、本件土地の現況、使用状態などを調べてみる。

(イ)  原審並びに当審における検証の結果、当審鑑定人高橋喜平鑑定の結果によると、「本件(1)及び(2)の土地は一体をなしており(1)の土地には雑草が生えており、(2)の土地の一部は樹令二十年位の杉三十本程の杉林であり、その西南側は低地で湿地帯である。(3)の土地は樹令四十年ないし五十年位の杉約七百五十本樹令二十年位の雑木約四百本の林である、(4)の土地は樹令二十年位の杉百五十本の外栗、楢等の林である。(5)の土地は細長い平担地で樹令三十年ないし五十年位の杉約七百本雑木約四百本の林である。(6)の土地は平坦で雑木が繁茂し、その間に雑草が生えており石塊、切株が散在する。(7)の土地は平坦地で樹令二十年位の杉百五十本の杉林で三分の二の土地は雑木林となつており樹間には雑草が生えている。(8)、(9)の土地は隣接した平坦地で樹令二十年ないし五十年の杉五十本が生えており、樹間には雑木、雑草が繁茂し、礫も多少見受けられる。(11)の土地は帯状の平坦地で樹令三十年位の杉五十本が生えた杉林で樹間には雑草が生えている。(13)の土地は樹令二十年ないし六十年位の杉約三百本が生えた杉林である」ことが認められる。また、(1)(2)(3)の土地に沿うて道路があるので大雪の場合はこれらの土地の杉林が道路の目印になつておることが認められる。

(ロ)  当審証人貝瀬勝五郎の証言によると右各土地は控訴人貝瀬彦行が採草地として利用しており、また、栗は食用に供していることが認められる。

(ハ)  当審証人貝瀬勝五郎、貝瀬恒造、角田仲 の各証言によると、(5)(6)(7)の土地の側には水路があり、下流に居住する貝瀬忠一、角田正茂が飲料水に使用しており、また、吹雪のときは右土地の杉林等のため通行人は便宜を得ておること、同土地には涌水があり大石が散在しているため開墾に多額の費用を要するので、控訴人貝瀬彦行は開墾をせず採草地として利用していることなどが認められる。

(ニ)  当審における控訴人貝瀬彦行本人尋問の結果によると、同控訴人は数十年来農業をしているので本件土地の一部を開墾してみたこともあるが、生産力が低く到底採算がとれないので中止し数十年来現況のように採草地として利用し或は植林して森林資源の造成を図つているのであつて、本件土地に生育している杉は同控訴人とその先代が植林したものであることが認められる。従つて、これらの土地は同控訴人がいたずらに農地となさずに放置しておいたものではなく、その生産力からみて開墾しても採算がとれないため他の方法に利用しているものと認められる。

(M)  ところで、国は森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、以つて国土の保全と国民経済の発展とに資するため森林法をはじめ、造林臨時措置法、保安林整備臨時措置法、森林資源造成法等を制定して森林の造成に努めるとともに、その伐採については特に慎重な方針を定め、また保安施設として保安林を設け水源のかん養、土砂の流出、崩壊の防備、飛砂の防備、風水害、干害、雪害の防備、公衆の保護に努めている。そして、造林臨時措置法第二十三条において造林計画に係る伐採跡地、造林地については農地法の規定による買収を禁じているのである。そこで、これらの法律の趣旨に基ずいて本件土地を調べてみる。

(イ)  原審並びに当審における検証の結果、当審鑑定人高橋喜平の鑑定の結果によると、本件土地の植林の状態は次のとおりである。

大字

地番

樹種

本数

樹令

伐期に達したるや否や

(2)滝谷

一、七八七丑

三〇

二〇

伐期に達せず

(3)〃

一、八一一

七五〇

二〇〇

二〇〇

四〇―五〇

一五

一五

杉約一五〇本は伐期に達す、他は伐期に達せず

(4)〃

一、八五二

栗、雑

一五〇

不詳

二〇

一〇―五〇

栗は一般に食用に供するため伐期は老令枯損のときにすべきもの、いづれも伐期に達せず

(5)〃

一、八二七

七〇〇

二〇〇

二〇〇

三〇―五〇

二〇

杉約七十本は伐期に達す、他は伐期に達せず

(6)〃

一、八一四

不詳

七―八

伐期に達せず

(7)〃

一、八一六子

一五〇

二〇

(8)〃

四四七ノ二

立木ナシ

(9)長崎

(10)

三、三一七

三、三一七子

五〇

二〇―五〇

五本は伐期に達す、他は伐期に達せず

(11)〃

三、三五四ノ二

五〇

三〇

伐期に達せず

(12)早川

二一八の二

立木ナシ

(13)〃

二一八の三

一〇〇

二〇〇

六〇

四〇―五〇

二〇

約四〇本は伐期に達す他は伐期に達せず

(伐期は電柱材として使用し得ることを目安としたものであつて、これは一般林業家の通念であることが認められる)

(ロ)  右鑑定によると、本件土地の降雪量は昭和二十四年一月から昭和二十八年十二月までの間において最大約二百糎、同期間中の十二月における最大雪積量は百十一糎に達すること、本件の杉林、雑木林は冬期吹雪の際は通行上及び橋梁の保全上防雪の効果は顕著であることが認められる。

(ハ)  和田鑑定人の鑑定の結果によると、洪水の場合を考えると、堤内地に森林のあることは被害を軽減する上から望ましいことであり、本件の山林はその位置配置からみて直接的な防水効果は期待できないが氾濫した場合にその流勢を阻害する程度の効果があることが認められる。

(ニ)  成立に争いのない甲第六号証同第十号証によると本件土地のうち(13)の土地の一部は水害防備林とするため新潟県知事が昭和二十六年六月六日保安林に指定し、水害防備のため主伐を禁じ、かつ、森林区、制限林として落葉、下草、土石の採取を禁じ、現在林木の育成につとめるよう施業要件が定められていることが認められる。

(ホ)  当審証人阿部新一郎、曳田三郎、曳田重雄、阿部賢一郎、佐藤郁二郎、関富平の各証言によると、本件土地は登川の流域に散在しているのであるが、登川は雪解けや大雨のときは満水して流れる川であつて上流から流れて来る土砂によつて年々川底が高くなつており、大正年間と昭和二十二年、二十三年中に堤防が切れて洪水となつたことがあるが、このときは附近の杉林で土砂を食い止め、土砂が田畑に流れ込むのを防いだことがあることが認められる。

(ヘ)  当審証人原沢浅吉の証言により成立を認める甲第三号証(未墾地開放計画中一部除去の件申請と題する書面)と同証言によると、上田村大字三郎丸字横枕部落民三十四名は昭和二十三年八月十三日上田農地委員会長に宛て連名で上田村大字早川字原中本計画に含まれた森林地全部を該計画から除外する申請をなし、その理由として、「(一)当該地区は新潟県下随一とも謂うべきあばれ川で有名な登川の洪水破堤に際し応急防護及び一部浸水等の場合防波林として重要な保護林でこの地区を伐採開墾することはその以北にある当部落民十四戸の生命をおびやかすのみでなく、附近既耕地約四十町歩は川底と化し農耕不能となる。(二)これを裏書する一例として明治初年の増水に該地区一部((二一八番地附近本件(12)(13)の土地である))を破堤して附近耕地数十町歩と部落数十戸が被害を被り当時破堤至近に居住せる惣左衛門一家を押し流しその跡に深さ丈余の淵を生じて今尚残る等の悲惨事は記憶するところであつて、その復興は早川地区内なるにも係らず三郎丸部落が築堤した歴史的な地区である。(三)最近数年登川の増水は不完全なる堤防を数回破堤浸水せるも前記の如き悲惨事を繰り返すことなく良く耕地及び部落を保護し来つた所以は一つに沿岸一帯の防波林によるものである。(四)先に未墾地開拓の議が起つた場合他に適地のない当部落も登川沿岸森林地帯を議題として考究したが、前記の理由で断念するとともに他部落にも同調を呼びかけ、かつ、委員会にも連名し申請する処となつたが、登川沿岸大部分が除外されたにも拘らず、該地区一部が開放に含まれたことは当部落の最も遺憾とする処であつて、前記各号の理由によつて該地区開放は絶対反対を表明する。」と主張していることが認められる。

(ト)  叙上認定のような本件土地の現況、鑑定の結果など諸般の事実から考えると、本件土地に生育している杉等の立木を伐採することは森林資源造成に関する各法令の趣旨にもむしろ反するものであり、またこれらの杉林を伐採することは附近農家の一部に洪水防備上甚しい不安を与えるものであることが認められる。

(チ)  また、前掲第二基準はその第八の備考において「未利用径級の造林地で遠からず利用径級に達すると認められるものについては、その地区の開拓計画に重大な支障をきたさない限り可及的に伐採を延期するよう措置するものとする」と規定し、また第九土地保全の項では「保安林、保安施設地区、皆伐禁止林分、砂防指定地等災害予防のため現状を変更する行為の制限については土地部会の特別調査により、その土地を開拓することが保全目的に著しい支障を来さないことが、明かにされない限りこれを開拓適地に選んではならない」と規定し、さらに第十四既存農家との土地利用上の調整として「従来地元農家により採草地又は自家用薪炭林として利用されている土地を開拓適地に選ぶときは、特に慎重を期し地元農民の福利に重大な影響を与える場合には土地利用上の調整をはからねばならない。この場合にその土地の管理を極度に集約化した上での必要最少限度の代地が得られないときは、調査班の判定によつてその土地を開拓適地に選んではならない」と規定している。

(リ)  以上説示の如き基準の規定は開拓適地を定めるについては災害予防に対する森林の重要性を考慮すること及び開拓適地と認定さるべき土地を所有する農家の利益も必して無視すべからざることを規定したものと認められるのである。

(N)  以上説示のように、本件土地(既墾地を除く)は農林省所定の「開拓適地選定の基準」及び農地法に基く農地法施行令所定の基準(これらの基準が本件について判断の資料となることは前述のとおりである)からみてもいずれも開拓不適地である。また、耕作者が自家労力によつて開墾することを考えてみても、石礫、樹根の除去などに多大な労力を必要とする上、登川の旧川敷又は氾濫原であり、水位は高く、水温は低く、礫と砂の土層であるため生産力は非常に低いこと、本件土地は数十年生の杉が多数生育し、しかも伐期に達しないものが多く、これを伐採することは森林の保続培養の点からみて好ましからぬこと、附近部落民の一部には水害防備の見地から本件土地の杉を伐採することには強硬な反対があること、本件土地の杉林は防水、防雪の点からみても、これを存置することが望ましいこと、その他前記認定のような諸般の事情を合せ考えると、本件土地はこれを農業のために利用しても決して農家の経営を安定させ日本経済の安定に資するものではなく、国土資源の利用に関する総合的見地から考えると、開発して農地とすることが適当な土地とは認めることができない。

五、原審証人宮川晁、樺沢千尋、鶴巻達雄は、本件買収計画樹立については、本件各土地について実地調査をなした結果、いずれも第一基準所定の開拓適地と認定したものである旨を供述しているけれども、当裁判所は前掲和田鑑定人の鑑定の結果に徴し右証人等の各供述中、調査の結果に関する各供述は採用しない。その他右認定に反する証拠は当裁判所はすべて採用しない。

六、従つて、本件土地のうち(8)及び(11)(12)のうちその中央を流れる小川の下流に向つて右側の一反九畝の部分は既墾地であつて未墾地買収の対象とすべからざる土地であり、また、その余の土地は前述の各基準、趣旨から考えて、開拓不適地であるのみならず、国土資源の利用に関する総合的見地から考えても開拓して農地とするには適しない土地である。

七、なお、第一、第二基準においては四級地となる土地であつても、該基準第十七の二の手続をすれば例外が認められることを定めているが、この手続をとられたことについては被控訴人において主張も立証もしないところであるから、被控訴人はこの手続をとらなかつたものと認むべきである。

八、原審鑑定人八幡八郎は本件各土地について前掲基準によつて次の如く鑑定している。

大字

地番

地目

面積

傾斜

土性

土層

適、不適

備考

滝谷

登婦沢

四四七の一

山林

一、三、二七

長崎

小神字

三二七九

〇、九、二六

此辺の二畝歩茅葺林は不適

道端

三三一七

〇、三、〇九

三三一七 子

〇、〇二九

三三五四の二

原野

〇、一、二七

姥沢

新田

阻下

三五二

山林

〇、六二六

三五四

一、三〇〇

約七畝歩開墾済

早川

二一八の二

約二反歩開墾済

二一八の三

従つて、同鑑定人の鑑定によると本件土地はいずれも開拓適地となるわけである。然しながら、同鑑定人がはたして、基準に指定されているような調査の方法を用いたかどうか、いかなる理由のもとにこのような鑑定をしたかについて詳かにしていないので、当裁判所は前掲和田鑑定人の鑑定の結果を採用し原審鑑定人の鑑定は採用しない。

九、以上説示のとおりであるから、別紙目録記載の土地について樹立された本件未墾地買収計画は違法であつて、到底取消を免かれないところである。

十、然らば、控訴人等の本訴請求を棄却した原判決は失当であつて、本件控訴はいずれも理由があるから、原判決中、控訴人等敗訴の部分を取り消し、本件未墾地買収計画はこれを取り消すべきものとし、民事訴訟法第三百八十六条第九十六条第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 浜田潔夫 仁井田秀穂 伊藤顕信)

(別紙省略)

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